羽田空港で大韓航空機のエンジンから出火、一時滑走路が全面閉鎖される
27日昼すぎ、羽田空港で、離陸しようとしていた大韓航空機のエンジン部分から火が出て、乗客乗員300人余りが全員、緊急脱出しました。東京消防庁によりますと、このトラブルで、12人が足を打つなどのけがをして病院に運ばれました。羽田空港は午後6時半までに、すべての滑走路の運用を再開しています。 <br /> <br /> 27日午後0時38分ごろ、羽田空港のC滑走路で、ソウルのキンポ(金浦)空港行きの大韓航空機が離陸滑走中に左側のエンジン部分から火が出ました。消防が消火にあたり、火は午後2時すぎに消し止められました。 <br />この飛行機には乗客302人、乗員17人の合わせて319人が乗っていましたが、全員、シューターを使って緊急脱出し、空港が用意したバスで国際線のターミナルに向かいました。 <br />東京消防庁によりますと、19人が気分が悪いなどと訴え、このうち、シューターから脱出する際に足を打つなど、26歳から74歳までの男女12人がけがをして病院に運ばれました。 <br />この機体は大韓航空2708便、ボーイング777型機で、国土交通省によりますと、左側の第1エンジンにトラブルが発生したということです。 <br />警察庁によりますと、これまでに不審物などは見つかっておらず、事件性はないということです。国の運輸安全委員会は調査官4人を現地に派遣し、機体の状況を確認するなどしました。羽田空港ではトラブルが起きたC滑走路についても、機体の移動や路面の点検が終わり、午後6時半前から運用を再開し、羽田空港のすべての滑走路が運用を再開しました。 <br />一方で、国内の空の便はトラブルの影響で、これまでに300便以上が欠航しています。 <br /> <br />左エンジン内部の部品飛び出す <br /> <br /> 羽田空港を離陸滑走中の大韓航空機のエンジンから火が出て乗客が緊急脱出したトラブルで、国の運輸安全委員会が機体を詳しく調べたところ、左のエンジンが壊れ、エンジン内部の部品が外に飛び出していたことが分かりました。 <br />国の運輸安全委員会は調査官4人を羽田空港に派遣し、大韓航空機のエンジンを確認するなど現場での調査を開始しました。その結果、出火した左エンジンの外側を覆うケースが壊れ、エンジン内部の部品がケースを突き破って外に飛び出し、周囲に散乱していたことが分かりました。 <br />大韓航空などによりますと、離陸の直前までトラブルにつながる情報はなかったということで、運輸安全委員会は、今後、エンジン出力や速度などのデータを記録するフライトレコーダーを分析したり、パイロットらから話を聞いたりするなどして、トラブルの原因を調べることにしています。 <br /> <br />専門家 今まで見たことないトラブル <br /> <br /> 日本航空の元機長で航空評論家の山田不二昭さんは、当時の映像を見たうえで、「離陸を中止した旅客機のエンジンから火が出て、エンジンの一部が焼け落ちたようにも見える。こうしたトラブルは今までみたことがない」と話しました。 <br />また、当時の状況について、「滑走路に入り、管制官の離陸許可を受けてエンジン出力を最大にして滑走を始めたところ、早い段階で何らかの異常が起き、緊急停止させたのではないか」としたうえで、「エンジンの外から異物が飛び込んだりエンジン内部の部品が破損したりして燃料系統のパイプを傷つけ、燃料が漏れ出して出火した可能性が考えられ、エンジン内部の状態を詳しく調べる必要がある」と指摘しています。 <br /> <br /> 大韓航空の本社によりますと、エンジンから出火したボーイング777型機は、1999年に導入された機体で、エンジンは、2014年に交換され、27日の出発前の検査では異常がなかったということです。 <br />大韓航空の日本地域本部では、旅客チームの妹島禎也次長が報道陣に対応し、「お客様にご迷惑をおかけするとともに、羽田空港の滑走路を閉鎖する事態となってしまったことをおわび申し上げます」と謝罪しました。 <br />一方、韓国国土交通省は、今回の事故を受けて、事実関係の確認などのため、「航空・鉄道事故調査委員会」の担当者1人を日本に派遣したということです。