中国の人権派弁護士 起訴内容を否認 2015年12月14日
中国の人権派弁護士 起訴内容を否認 <br /> <br />2015年12月14日 16時00分 <br /> <br />中国で人権問題に取り組んでいた著名な弁護士が、インターネット上の書き込みによって社会の秩序を損なったとして、騒ぎを引き起こした罪などに問われている事件の初公判が開かれ、 <br />この弁護士は「騒ぎを引き起こす目的はなかった」と述べ、起訴内容を否認しました。 <br />中国の著名な人権派弁護士、浦志強氏(50)は、インターネット上に政府の民族政策に対する批判などの書き込みを行い社会の秩序を損なったとして、騒ぎを引き起こした罪などでことし5月に起訴されました。 <br />浦氏の弁護士によりますと、14日、北京の裁判所で開かれた初公判で浦氏は、書き込みをしたことは認めながらも「騒ぎを引き起こす目的はなかった」と述べ、起訴内容を否認しました。 <br />浦氏は、1989年の民主化運動の学生リーダーの1人で、インターネットを通じて社会の変革を訴えてきましたが、去年5月、天安門事件の真相究明を訴える集会に参加した直後に拘束されていました。 <br />裁判所の前には、浦氏の無罪を訴えようと数十人の支持者が集まりましたが、警察に強制的に排除されたほか、海外メディアの取材も繰り返し妨害され、警察に殴られた記者もいました。 <br />理性的な言論活動で知られる浦氏の裁判だけに、欧米各国の外交官も裁判所に駆けつけるなど、審理の行方には高い関心が寄せられています。 <br /> <br />・警官隊が支持者やメディアを排除 <br /> <br />14日午前、浦氏の裁判が行われた北京市の裁判所の周辺には、2、30社の海外メディアのほか、浦氏の釈放を求める大勢の支持者らが集まりました。 <br />ただ、周囲には大勢の警察官が動員され、裁判所のそばで撮影していたメディアの取材を繰り返し妨害したほか、中には押し合いの末、警察官に殴られたメディアもありました。 <br />また、浦氏の支持者らが「浦氏は無罪だ」とシュプレヒコールを上げると、すぐさま警察官らによって停止させられ、裁判所前から強制的に排除されていました。 <br />52歳の女性は「浦志強氏は庶民のために働いており、いかなる違法なこともやっておらず、無罪だ」と話していました。 <br />裁判所の前には欧米各国の外交官も駆けつけ、このうち、北京にあるアメリカ大使館の外交官は、その場で声明を読み上げ、「弁護士であり、社会のリーダーでもある浦氏を抑圧された状況に置くべきではない。 <br />われわれは中国当局が浦氏を釈放するよう求める」と訴えました。ただ、声明を読み上げている間も、警察官たちがたびたび記者や外交官の体を押し読み上げを妨害するなど、現場では押し合いの混乱が続きました。 <br /> <br />・中国外務省「警察の対応は正当」 <br /> <br />中国の著名な人権派弁護士、浦志強氏(50歳)の初公判が開かれた14日、裁判所の周辺で外国メディアの記者が殴られたり、欧米諸国の外交官らが手荒く排除されたりしたことについて、 <br />14日午後に開かれた中国外務省の記者会見では、外国メディアからその理由や法的根拠をただす質問が相次ぎました。 <br />これに対して、洪磊報道官は「中国の警察機関は法律にのっとって現場の秩序を守る。関係者は警察機関の要求に対抗するのではなく、協力すべきだ」と述べて、警察の対応の正当性を主張しました。 <br />また、アメリカ大使館の外交官が裁判所の近くの路上で、中国当局に対して浦氏を釈放するよう求める声明を読み上げたことについて、洪報道官は「中国の司法機関は法律に基づいて判決を下す。 <br />いかなる国も中国の司法の主権を必ず尊重しなければならない」と述べて、不快感を示しました。 <br /> <br />・NHKの海外向けテレビ放送が中断 <br /> <br />中国本土では14日午後、NHKが海外向けテレビ放送、「ワールドプレミアム」のニュース番組の中で、人権派弁護士の浦志強氏の初公判に関するニュースを伝えた際、映像と音声が1分余りにわたって中断され、画面が真っ黒になりました。 <br />中国本土では当局にとって都合の悪い内容のニュースが放送される際、今回のように外国メディアの放送が中断されることがたびたびあり、浦志強氏の裁判を巡る国内外の反応に、中国当局が神経をとがらせていることを示しています。 <br />http://www3.nhk.or.jp/news/htm....l/20151214/k10010340